BIKE || MOTORCYCLE

ワンイチ、東京湾一周 神奈川県・東京都・千葉県サイクリング

Posted on Wed 22 January 2020 ( 2020-09-17 update ) in bike

コースと時期の検討

かねてより検討していた「ワンイチ」か「湾イチ」なのか、いまひとつ通称が判っていない「東京湾一周」を実行してみた。やっぱり「ワンイチ」のが略語というか愛称っぽいかな。淡路島一周だって「アワイチ」だったよね?カタカナの方がそれっぽい気がする。

ワンイチといっても、チャレンジする人の数ほどルートが存在するので色々と検討しないことには始まらない。なるべく海沿いを走ってみたり、主要国道を巡ってみたりと色々選択肢はあるけれど、「路面状況がよい」と「安全に走れる」を重視してみた。

選んだルートは次ような感じ。

  • 国道15号で横浜から東京まで
  • 国道14号で東京から千葉まで
  • 国道16号で千葉から木更津まで
  • 国道127号で木更津から浜金谷まで
  • 国道16号で久里浜から横浜まで

ずっと国道なので道路標識を見ながら進むだけ。残り距離なんかも標識から読み取れるのでナビゲーションの手間も軽減できるはず。なるべく広い路側帯か自転車も余裕を持って走れる歩道が整備されているルートを選ぶようにした。久里浜から千葉までのルートは実際に自転車で走ったことがあったり、クルマで走って把握できているが、千葉から浜金谷までがかなりあやふやな記憶なので不安区間はそのあたりかな。

STRAVA上でルートを引いてみたところ190kmと少しなのでおそらく200kmには満たないはず。これまでの最長にはなるだろう。

ワンイチに挑戦しようという人、ましてやその記録についてあれこれ調べている人なら、ルートや時期、所要時間、装備なんかが一番気になるところだと思う。今回選んでいるルートは横浜から日本橋だったり、横浜から横須賀だったり、三浦半島一周だったりと、これまで積み重ねてきたルートが行程の半分近くを占めていたりする。クルマで通っただけならほぼ一周できる経験があるけれど、それほど道のイメージは記憶に残っていないもので、実際に自転車で走ったことがあるのが重要な気がする。不安だなと感じるなら部分的に走ってみるのがいいんじゃないかなと思う。

1月のこの時期に実施したのはやっぱり気温が理由。日照時間が長い方が走りやすいのは間違いないけれど、代償として気温があがる。おおむね都市部を走るとはいえ、補給の煩雑度があがり、熱中症の危険度が高い夏場よりも、適切なライトや安全装備と防寒装備で対応した方がいいと考えた。春や秋も検討できるが、春雨・秋雨の季節よりは冬だし、風が穏やかなのも冬だと思う。それに冬は北風傾向なので千葉区間も追い風になりがち。可能ならばお天気は味方にしたいのだ。反時計まわりだとしても風が穏やかな方がいいよね。

スタート時間は6時にした。日の出後の7時でもいいかなと思った。どうせ日没後も走るから前半はライトつけなくていいじゃないと考えもしたけれど、東京区間が朝のラッシュアワーになるのは得策ではない。8時くらいには東京駅を過ぎておいた方がいろいろといいだろう。それに浜金谷のフェリーの時間がトラブルひとつで遅くなりそうだ。早めに到達しておいた方がいい。当日、早めに起きたら4時でも5時でも出発してしまおう。そんな感じに予定を立てた。

準備した装備

さむい……ってほどじゃないのが2020年の冬。早朝は0度に近くはなるけれど、2度とか3度くらいが多くて氷点下はあまりない。日中は10度を超えることもある。極寒装備じゃなくてもいいのはありがたい。

  • おたふく手袋 ボディータフネス JW-172
  • 究極!ニパ子ちゃん サイクルジャージ bkub Ver.
  • モンベル モンベル サイクル トレーナージャケット
  • おたふく手袋 ボディータフネス ロングタイツ JW-162
  • Castelli Omloop Thermal ビブショーツ
  • おたふく手袋 ネックウォーマー JW-120

ウインドブレイカーとレッグウォーマーはサドルバッグに念のため入れておく。

グローブはMTB用のフルフィンガーグローブの上にinvictaのフリース手袋。あれ、invictaって今はないの?昔は流行ってたんだけれどな……。

アパレル系の持ち物が多かったのでツールケースじゃなくサドルバッグを装備。行動食を入れたり追加ライトのバッテリー保持のためにトップチューブバッグを据付。ちょっとだけロングライド装備を増やした感じにまとめた。

そこそこの距離なのでトラブル対応をいつもより多めにしてみたけれど、結局いつも通りくらいでいいんだろうな。冬用装備はもう少し最適化の余地がある。

行動食はアミノバイタルのジェル。コンパクトなのでアミノショットのパーフェクトエネルギーが好き。あとはボトル1本にお水。山の中に分け入るのではないので都度食べ物は買い入れる。

横浜から東京と千葉を経て浜金谷まで

さて、当日。

Strava: Wan-Ichi - Around Tokyo bay

夜中に何度か目覚めたものの3時で出発する気にはならなかったのでもう一眠りして5時ごろ起床。支度を終えて家を出たのは6時。こんなものでしょう。

当然、日の出の時間にはなっていないので周囲は真っ暗。鶴見川の土手に出ると街灯も遠くなり眼前の路面状況はほぼわからない。ライトの光量を調節することにする。

キャットアイのVOLT400とUSB接続のやたらと明るいライトを点灯。VOLT400は主に前方を照らすため。USBライトは路面状況把握のために下方を広角に照らす。USBのライトはモバイルバッテリーから電気を供給しているので電池切れの心配はまずない。そして明るさを最大にするとちょっとした暖房器具になりそう。かなりの電飾状態なので周囲からも発見してもらいやすいはず。

鶴見川から国道15号を目指すにあたり、まずは土手を末吉橋に向かう。末吉橋は架け替え工事が始まっているので手前で一般道に進路変更の必要がある。事前に工事状況を確認してあるので、末吉橋手前から迂回を開始。末吉橋を渡り、尻手駅を経由して川崎駅を目指す。このあたりで空が白みかけてくる。川崎駅西口前を通り過ぎるとすぐに多摩川。多摩川沿いの409号を少し走ると国道15号が見えてくる。

国道15号の六郷橋を渡ると東京都。ここまで約1時間。

蒲田、大森、大井町、品川、田町と走る。そこそこ自転車は走りやすい。まだクルマが少なめなこともあって、それほど煽られることはない。札の辻からちょっと寄り道して国道1号方面に進む。東京タワーや皇居を通っておこうかと。

東京駅の丸の内側に到着して写真を撮影。2時間と少し経過。信号多いから進みは遅い。

ワンイチ東京駅

逆光だった……。

大手町の少し先で右折。神田警察通り、神田平成通りを通過して、靖国通りに入る。馬喰町からは国道14号。京葉道路になる。

神田のあたりはちょっとわかりにくいよね。でも考えようによっては適当に走っても問題ない地域。永代通りでも、清洲橋通りでも、新大橋通りでもどこでもいい。隅田川、荒川、新中川、江戸川と渡っていくので道なりに進めばそれほどおかしな道に行くことはない。船堀通りや環七通りで多少の調整はできます。

今回は千葉街道を走りたかったので国道14号の標識を目印に走った。国道14号は京葉道路と千葉街道に別れる。京葉道路を目印にしてしまうと途中から自動車専用道路になってしまうので、千葉街道の標識を目指すこと。

隅田川から京葉道路を走り、荒川を渡って江戸川区に入ったら新小岩方面に進んで千葉街道を選ぶ感じ。なんなら神田から御徒町方面まで進み、蔵前橋通りで千葉街道を目指してもいい。ほんとに好み。江戸川を渡ったら千葉街道になる。3時間30分ほど経過。

千葉街道。クルマは混雑。信号は煩雑。そろそろ解放されたい。

市川市や船橋市のあたりは京成線の沿線なのでほんとに交通量多め。良くも悪くもシティサイクルと並走して走る感じなのでクルマにも気にしてもらえているのかも。

千葉街道は走りなれていないのもあるけれど、思いの外、生活道路らしくて幹線道路って感じではない。片側1車線の道路だけど路側帯は確保されていることが多いので、走りにくいほどではない。信号が多いだけ。とにかくストップ&ゴーが大変。落ち着いてくるのは習志野市に入ってからかな。都市を繋ぐ道路は京葉道路や湾岸道路なんだなあと実感。

ワンイチ 千葉 国道14号

4時間30分ほど走って稲毛海岸や幕張までくれば道が太くなってくる。いよいよ千葉市。ここからクルマの1レーン分くらいある路側帯が続き。非常に走りやすい。クルマが怖くない。ダンプがきたって風の影響はほとんどない。素晴らしい。気持ちよくスピードを上げていける区間。ずっとこのままだといいなあ。千葉っていいなあと幸せな気分になる。

千葉市に入って気持ちよくサイクリング。ここまで走行距離70kmで5時間くらい経過。

国道14号はそのまま成田の方に行くので千葉から先は国道16号。だんだん路側帯が狭くなり、道がガタガタして、路面に小石が散らばり始める。あれ?さっきまでの爽快な道路はどうしたんだ?じわじわと下がっていく高揚感。あぁ無情。

千葉の湾岸エリアは大型車のための道なので、路面の痛みが激しい。だんだん歩道に逃げざるをえない。歩道があるだけましかもしれない。1時間くらい痛みの激しい道かボコボコ舗装の歩道を進むと交通量が減ってきた。どうやら千葉市を離れて市原市に入っているようだ。振動に体力を削られていく感じがする。川崎の工業地帯に似ていなくもないけれど、人が歩いていたり、自転車が走っていたりしない。寂しいエリアだなあ。

そして、出発してから7時間。木更津市に到達。

袖ヶ浦市や木更津市。街と何もない平地とが交互に現れる。コンビニ補給のタイミングを誤らないようにしないと。淡々とペースを守って走る。ちょっと退屈傾向。

富津岬に行くならそのまま国道16号。時間が読めないので今回はパス。国道127号で先を目指す。ちょっと山間の地域に入ることになる。どんな道かな?

うん、殺風景と感じてしまいました。畑作地域なのかダンプが砂を積んでいく地域なのか。街と街のはざま地域。君津市ってこんなだったっけ?なんか海辺の爽やかなイメージだったんだけど、ちょっとしんどい道。ダンプが横を過ぎるというのに路側帯がほぼない。歩道もない。とても走りにくい。

内房なぎさラインよりも館山自動車道の近くの道のがマシなのかな。距離は伸びるけど海よりの道の方がいいかな。このあたりは道の研究が必要だ。

辛いな、しんどいなと思いながら富津市に入る。多少マシになってきた。路側帯が復活傾向。これならなんとかなる。そして海岸線に到達。出発して8時間30分。やっと海がまともに見えた。東京湾一周とかいいつつ、やっと海がまともに見えたよ!

さらに30分ほど走って、浜金谷に到着。スタートから9時間。133kmで東京湾フェリーの乗り場である金谷港に到着。

東京湾フェリー 浜金谷から久里浜まで

14時台に便がなかった……。

15時台のフェリーを待つことになる。乗り場横にあるチケット売り場で自転車1台分を申告しつつ片道の切符を購入。しばし待機。

東京湾フェリー

東京湾フェリー ロードバイク乗船

自転車はオートバイと同じく、クルマより先行して乗船。アナウンスに従って改札した後にフェリー前方に用意されていたスペースに自転車を固定してもらう。貴重品を持って客室に移動。ヘルメットなんかは持ち歩かずとも自転車にくくりつけておいてもよかったかもな。どうせ運行中はクルマには近寄れないし……。

乗った船はチーバくんラッピング仕様。ろんぐらいだぁす!の葵ちゃんはいなかった。いなかった……。いな……。

ひとりぼっちなので海軍カレーぱんもたべずに席で身体を休めることに専念。

40分ほどで久里浜港に到着。

着岸後に自転車まで移動して、やはりクルマより先に船を降りる。

さて、再スタート。

久里浜から横浜まで

久里浜から横須賀までは国道134号。浦賀や観音崎には回りませんでした。

国道134号線のこの区間は川沿いのルートなのでアップダウンはなし。横須賀まで平坦です。バス通りでもあるので、時間帯によっては交通量がある。

横須賀についても、海沿いの道は使わずに、そのまま国道16号を走ります。横須賀からトンネル区間がありますが、前後ライトを点灯して通過。

と思ったら、テールの赤ライトの電池が切れてしまったので、コンビニで電池購入して交換。夕暮れ時間に入ってきているので、地面照射用ライトと前照灯はフラッシュを混ぜて、気にしてもらえるように調整。ちょっとうるさいくらいにライト点灯のが安全なはず。

横須賀のヴェルニー公園や自衛隊の基地を眺めても良かったけれど通過。

スタートから11時間30分。金沢八景付近。海沿いの国道357号を走ろうかと思っていたけれど、信号のタイミングが気持ちよくなかったのでそのまま16号を走り続ける。多少アップダウンはあるけれど脚は十分まわるので16号。新杉田や磯子を通過して1時間ちょっとで横浜関内・みなとみらいエリアに到達。

なんか以前走った頃よりよっぽど速い。慣れると違うものだね。

六角橋から東横線沿いに走って新横浜付近まで到達。13時間とちょっとで帰宅しました。まだ走れそう。フェリーで休憩とったのがよかったのかな。

ワンイチ みなとみらい

ワンイチを走っての改善ポイント

ルートについては、君津市のあたりがよろしくなかった。

常に車道を走るのではなく、路側帯または広い歩道を賢く使ってこそサイクリングだと思うけれど、君津市の道路はその逃げ道がなかった。単独走だからなんとでもなるけれどグループライドだったらちょっと問題。走ることはできても追い抜きするクルマに迷惑かけちゃう。もう少し研究が必要。

道路標識は方向表示の上に地名が書いてある。この地名は左側がより遠くで右側が近い地名。このルールがわかっていれば迷子になることは少ないと思う。残り距離もこの地名にあわせた感じで出ていることが多い。

今回だったら、東京、千葉、木更津、浜金谷、横浜がおおむね左側に書いてあって、右側はもうすぐ到着する街の名前だった。

服装については、おおむね正解だったみたい。

途中暑くなることはわかっていたので、防風インナーは採用せず、換気しやすいものを選んだ。おたふく手袋の防風パワーストレッチJW-190も持っているけれど暑い時の通気性が悪いのでJW-172にしたり、前にジッパーがあるジャージを重ね着したりとそれなりに工夫した。ネックウォーマーや二重にした手袋は途中で不要になる暖かさだった。

装備については、いろいろと感じることが多かった。

まずサドル。前回あたりからFizikのAntares R3 Openのラージを使っている。Arioneのレギュラーに比べたらだいぶお尻は楽だった。Antaresだからか、Openだからか、ラージだからか。たぶん全部なんだと思うのだけどこのサドルにして良かった。とりあえず、ショートノーズのサドルを導入しようっていう気持ちはいまのところなしになった。

つぎにパワーメーター。欲しいなあ。どれくらいのパワーで走っているのかを数字で把握したい。ロングライドをするならどのくらいのパワーを使っているかでペースを調整したい。これはWahooのKickrを使うようになってから身についた感覚というか目安。いまのところケイデンスと心拍を眺めていて、このくらいかな?ってバランスで乗ってしまっている。

でも、ケイデンスってKickrで把握している感覚よりゆっくり回しているはずなんだけれど、あきらかに数字が上なんで、ちゃんとした数字が把握できるようにしたい。ペダリングのベクトルじゃなくてパワーを知りたい。

パワー管理に関連して、ビンディングシューズの見直しもするべきだと考え始めた。ずっと歩きやすいSPDシューズで通してきたけれど、シューズの柔軟性がパワーのロスになっているというのがそろそろ無視できなくなってきた。

Tiagraから105にした時、クランクアームとチェインリングの剛性がアップしたことがよくわかった。となると、硬いカーボンソールを採用したSPD-SLのビンディングシューズでペダリングパワーの伝達が変わるだろうことは割と想像がつく。そろそろ替えどきなんだろうな。

剛性の高いSPDシューズでもいいんだけれど……。XC用SPDシューズは高いからなあ。グラベル用途のシューズが普及しだすと変わってきそうだけれど、いまはSPD-SLだろうな。

最後にコンポーネントは電動&油圧ディスクブレーキがいい。

ロングライド、とりわけ都市部を走る場合は信号がある。当然のようにストップ&ゴーが多発するのでブレーキや変速の機会が多くなる。ブレーキは前腕の握るための筋肉。変速は前腕のひねるための筋肉。疲れてくるとこの前腕の緊張はしんどい。さらにガタガタ道。ハンドルを抑え込む筋肉は三角筋と広背筋になってくると思う。肩甲骨をきゅっと締め込んでいくことで体幹の筋肉と連動して使うことが少なくない。

だから、より少ない力で弾ける油圧のディスクブレーキと少ない動きで変速する電動式が便利。予算が許すならば移行した方が楽チンだろうな。

ワンイチどうでしょう?

ワンイチを人に勧めるかといったら勧めないかな。

東京湾一周と行っても海沿いを走るわけではないので、景色目当てに行くルートじゃない。海が見たければミウライチ、三浦半島一周をお勧めする。ワンイチはどちらかというとトレーニング用途な気がする。もしくは記念イベントのようなアプローチだよね。

食事処については、あまりご当地ものは期待できない。横浜から千葉までの都市化された湾岸工業地帯は海の幸が名物というわけでもない。金谷か久里浜あたりがかろうじて期待できるかもしれないけれど、国道沿いのお店に期待できるかというと微妙そうでしょ?実際お店はあまりない。コンビニですませちゃったものな。

それとソロライドとしては退屈傾向。グループでわいわい走るのも大変だけれど、ひとりぼっちはちょっと飽きてくる。少人数でガッツリ走るのが一番楽しいんだろうな。

とはいえ、一度は行っておいて損はないと思う。やり遂げた!っていう充実感はちゃんとあるし、フェリーに乗って一周なんて楽しいものね。

自転車に乗り始めたころは100km走るのがなかなか大変だったのが、120kmくらいは余裕になって、160kmに手が届くようになると200kmが気になる。そのタイミングで走るなら最適な距離だと思う。180kmくらいで家から自走すれば200kmに近くなるだろう距離を平坦で。そうなるとやっぱりお勧めしてもいいのかな。