BIKE || MOTORCYCLE

ヤビツ峠にはじめてのぼる 神奈川県サイクリング

Posted on Tue 17 December 2019 ( 2020-09-17 update ) in bike

ヤビツ峠を選ぶまで

年の瀬も迫る12月。ロードバイクをオーバーホールする前にロングライドを敢行したいと計画をはじめる。日の出から日の入りまでを目安にしているので、夕方18時くらいに帰宅するにはどうしても160kmくらいが限界距離だったりする。そろそろ200kmとか走ってみたいじゃないか。有名な峠とか登ってみたいじゃないか。そんなことを考えていました。

はじめに考えたのは都民の森。自宅から多摩川に抜けてサイクリングロードを遡上して睦橋通りで武蔵五日市駅にいたり、定番通りにヒルクライムを実施。そのあとは風張峠を抜けて奥多摩湖を巡って多摩川を帰宅。ざっと190kmくらいのルートを検討。たぶん12時間くらいで走りきれるはず。

しかし、都民の森には休園日が設けられていて、その休園日こそ月曜日。月曜日に走りたいんだよな。せっかく登ってもお休みだったら楽しみがないなあ。と重い腰があがることはありませんでした。

つぎに考えたのが、箱根ヒルクライム。横浜から自走して東海道を登るのがオーソドックスかとも考えたけれど、あれこれしらべていくうちに、輪行での検討を始める。

湯河原から椿ラインをのぼり大観山に登頂。そのあと芦ノ湖や大涌谷に寄って東海道をくだって箱根湯本を通過し小田原。これなら走行距離よりも山登りがメイン。ヒルクライムというよりパスハンターって呼んだ方が適切なんだろうか。観光をメインに据えてゆるゆると箱根巡りをしてみようと考えた。

しかししかし、輪行袋の用意はあるけれど、一度も輪行袋を使ってみたことがない。練習せずに現地で本番ってのも危ういなあ。ちゃんと練習しようよってことで、このプランも順延。

予定の前日まで行く先は決まっていなかった。

ある程度走って、ある程度登って。ならば神奈川県のヒルクライムスポットであるヤビツ峠に行ってみようと計画を練り直し始めた。

最寄りの秦野駅まで輪行。しかし、小田急線だ。町田まででないといけない。新横浜から横浜線に乗って乗り換える?これは面倒。だったら町田まで走ってから輪行?そもそもぶっつけ本番輪行はやめとこうって言ってるのに……。

自走ですべてを解決だな。

帰りは双龍さんに寄ろうってことでシンプルなルートでヤビツ峠を目指すことにした。

自走でヤビツ峠を目指す

Strava: Yabitsu Pass

のんびり朝ごはんを食べてから出発。なんとなく決めたルートでヤビツ峠を目指す。

鶴見川・恩田川をのんびり走らずに、新横浜から緑産業道路に向かう。緑産業道路は神奈川県道・東京都道140号川崎町田線の別称。梅田橋を過ぎてららぽーと横浜の先、佐江戸にある地蔵尊前で中原街道が合流。以降は中原街道を進むことになる。

宮の下交差点を右折して十日市場から環状4号を使うルートもあるけれど、気がむくままに中原街道を走ってみた。長坂から下川井とアップダウンが連続する。地味に疲れる。きっと普段は使わない。けれどこれからヤビツ峠登るのだし坂に慣れておくためにもとか考えた。後から考えれば無駄だったような気もする……。ただ疲れるだけだった。

おたふく手袋の防風モデルJW-190を着ていたものだから、とにかく暑い。風を防いでくれるのはいいんだけれど透湿性が悪いので高い強度の運動には向いていない。汗をかかない程度のサイクリングにしか使えないかも。

そんなアップダウンを経て、瀬谷の南台あたりからちょっとショートカットして環状4号を上飯田方面に移動。やっぱり環状4号は走りやすい。クルマの交通量と路肩のスペースとのバランスが良いので安心して走っていられる。そのあと、上飯田から用田バイパスに入る。

用田バイパスは神奈川県道22号横浜伊勢原線。上飯田あたりから長後街道の呼称が用田バイパスに切り替わることになる。この用田バイパスを厚木の先の伊勢原にある国道246号までずっとまっすぐ。

ところどころ道幅が細くはなるものの、おおむね走りやすい道だと思う。でも、平日はちょっと交通量多いのかな。大型も少なからず走っているので気は使うかもしれない。神奈川県を西に行くなら悪くないルートだとは思う。

伊勢原からは246号。走りにくい。大型が通り過ぎる横を細心の注意を払って進む感じ。伊勢原市役所や東海大学の病院やら鶴巻温泉やらと通り過ぎてだんだんと登り傾向。

登り傾向?

いや登ってる。善波のあたりから緩やかにヒルクライム開始。登り坂の先に見えてくるのは善波峠。5%付近はあるよね?この登り?このままヤビツに登るの?え?どうなるの?って感じで246を進んでいく。

ちょっと寂しくなったところでトンネルになり、トンネルの先は下り坂。やっと秦野なのかな?下ったところで名古木に到着。

名古木って未だに読めません。ちっとも記憶されてこない。「ながぬき」でしょ?「な」と「き」はいいとして「がぬ」がおかしい。

あまりに読めないので調べてみることした。

昔の地名は「奈古乃幾牟良」とふりがなつけていたそうな。「なこのきむら」なら読めるね。「名古ノ木」って表記ならさらにわかりやすい。その前は「并椚」で「ナ・クヌギ」だそうな。ほかに「長軒」という呼称もある。「ナクノキ→ナガノキ→ナコノキ」って変遷だとかいうので、意味の通った漢字が当てられているとまだわかるんだけれど、摩訶不思議な当て字になっちゃうとわからないなあ。

ヤビツ峠のあれこれ

名古木のセブン-イレブンはよく知られているけれど、今回は寄らずにそのままヤビツ峠に登り始めた。振り返ってみれば、ここでしっかり補給とかおトイレを済ませておく方がいいかもしれない。サイクリング目的の人は立ち寄る必要はまったくなし。

ルートは県道70号線。秦野清川線を宮ヶ瀬にむかって走ることになります。途中にある信号は2箇所だけなので基本的にノンストップと言っても過言ではないでしょう。

ヤビツ峠へのヒルクライムとして、道中は3つに分けて捉えることができると思います。

ヤビツ序盤の住宅地

前段は、住宅地の中を走ります。信号があるのもこの区間。秦野市立東中学校が途中にあります。時間によっては通学路で児童が歩いています。十分に注意しましょう。途中、第二東名が建設中で高架橋の下をくぐります。大型ダンプなどの工事車両はこの工事のために走っているようです。

小蓑毛の鳥居

その先には小蓑毛の鳥居。鳥居はあってもそばに神社がある様子はありません。大山阿夫利神社(おおやまあふりじんじゃ)の鳥居でして、山岳信仰の対象として大山を祀るためのものです。大山信仰ですね。この鳥居はその時の参拝道の名残りです。

自然観察の森

さらに進むと自然観察の森なる水車が目印の建物があります。ちょっとした公園になっており、お手洗いも完備。名古木のセブン-イレブンに寄らずともここで休憩ができます。

このほか源実朝(鎌倉幕府三代将軍)の首塚も近くの田原ふるさと公園そばにあったりするので、ヒルクライム序盤から寄り道スポットはすくなくありません。

いよいよ住宅が少なくなると宝蓮寺が現れます。名古木から5kmくらいでしょうか。ここからがヒルクライム中段の開始です。

ヤビツ峠ののぼり

ヤビツ峠ののぼり

木漏れ日が柔らかく、道路脇の歩道は苔むしています。斜度は10度近くになることもあり、ぼちぼちの斜度。しかしながら、その斜度も長く続くことはなく、すぐにゆるくなったりといきなり悲鳴をあげるような傾斜ではありません。まだまだ元気な身体だからこそ景色を楽しみながら登れることでしょう。

平日のヒルクライムですとすれ違うクルマも自転車もなく独り占めでした。あれ?マナーの悪いロードバイクがいっぱいじゃなかったの?って感じで拍子抜け。週末だけなのかな。

道の雰囲気は王滝村の舗装された林道に近くて、陽のはいりかたも斜度の具合も似てるなと思い起こしながら走っていました。サイクリングのつもりで登るなら息が切れることもなく走れるはず。気持ちよい登りが続いていきます。

ヤビツ峠ののぼり

しばらくすると見えてくるのは菜の花台展望台。

菜の花展望台

菜の花展望台

菜の花台展望台は宝蓮寺からだと4kmくらいの距離になります。

ここまで海方向はちらちらと見られますが、木々に包まれるような道なのでそれほど展望が開けているわけではありません。この展望台まできてゆっくり眺めるチャンスとなります。駐車場やトイレも完備ですので行きも帰りも利用できます。

お弁当食べるならここでいいと思います。ついでに休憩スポットとしてもいい感じです。

ヤビツ峠までの眺望

菜の花展望台から先はいよいよヤビツ峠ヒルクライムの終盤。

だんだん殺風景な登りになってきます。たぶんグダグダにくたびれてきたのでそう感じるのでしょう。でも、木々の切れ間から覗ける景色に爽快感がいまひとつなかったりします。なんでだろう?

たぶんなんですが、富士山が見えないから。

横浜から秦野に至るまで、ずっと富士山が見えてました。名古木からゆるゆると登ってくる間も富士山がちょいちょい見えてました。きっと登ったらいい富士山がコンニチハ!って感じだろうって想像しながら登っていました。ちょうど菜の花台の展望台を過ぎたところで富士山がちょっと見えました。でも、だんだん見えなくなっていくんですよ。標高が上がっていくに従い眺望というよりは空が見えるだけ。たぶんそんな理由なんじゃないかなと。

ヤビツ峠到着

ヤビツ峠までは菜の花展望台からだと3kmくらい。走っているとヤビツ峠売店の建物が寂しく見えて、近づくとあのヤビツ峠の看板を見つけられます。ヤビツ峠の看板はひらたくいうとバスのロータリーにあるもので、その後ろには公衆トイレがあります。壊れているらしくて仮設トイレがメインみたい。

ヤビツ峠は完全にさびれています。

どうりで登った人はあのヤビツ峠の看板写真しか写さないはずだよ!ほかになんもないじゃん!

ウインドブレーカーを羽織ったら、早々にダウンヒルをはじめてしまうのも納得なのでした。

ヤビツ峠サイクリング

ストリートビューでも確認できますが、ヤビツ峠は山の中。四方に視界の開けた峠ではありませんので眺望を楽しむ峠ではありません。

ヒルクライム大嫌いながらも楽しく登れるヤビツ峠なので一度は行ってみてもいいんじゃないかと思います。できたら、秦野から登って宮ヶ瀬に抜けると良いと思います。

秦野から登るヤビツ峠が表ヤビツ。宮ヶ瀬からヤビツ峠に登ると裏ヤビツ。そんな言い方をしますが、表から登って裏から下るとそのまま津久井方面に抜けて行けますので周遊するにしても楽しいルートです。

2019年12月時点では、夏の台風19号の影響で裏ヤビツが崩落していて通行止め。とっても残念だったけれど、登って楽しかった。たぶん冬以外の3シーズン楽しめる峠じゃんじゃないかと思います。

ここでまとめ。

ヤビツ峠の距離は12km弱。時速10kmとして1時間ちょいで登れる。上級者は35分切りを目指しているそうな。平均斜度は5.7%くらい。難所でも10%あたりのようだし、緩急のある登りなので休める場所も多い。

大まかに分けるとヤビツ峠は3つの区間になる。

はじめの住宅地区間は4.4kmほど。民家もあるし学校もある。ちょうど第二東名を作っているので大型ダンプが走っている。走行時に注意すること。鳥居をすぎてお寺が見えてきたら1/3登り終えたことになる。そこから菜の花台展望台までが第二区間で4.1kmほど。木漏れ日区間で穏やかな登り。歩道が苔むしているのがちょっと風情。斜度にそれほど変化はなし。展望台から峠までが第三区間で3.3km。やや直線区間が多くなるのかな?標高があがって少しひんやりしてくる。そろそろ終わりかな?と思ったくらいで辿り着けるのがありがたい。1時間ほどで登るなら各区間は20分を目安にすれば、残りも読めて気分も楽になるはず。

それと、自走でヤビツ峠にいくよりはクルマや電車を賢く利用した方がよさそうに感じます。246の走りにくさを考えたら秦野駅まで輪行して表ヤビツから裏ヤビツに抜けて宮ヶ瀬湖まで移動。宮ヶ瀬湖から土山峠を下ってくるとかルートを工夫した方が楽しそう。横浜や厚木の市内で疲れるよりは山の中をサイクリングすることに時間と体力を使う方が満足度が高いはず。

2019年はこれでロードバイクはひと段落なのでオーバーホールして、半年先の王滝に備えてMTBの練習をはじめよう。MTBでヤビツ峠周辺のサイクリングも楽しそうだな。